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今回も、「ごちそうさま」をより引き出す内容でお送りしたいと思います(^^)/

 

 

さて、一つお尋ねします。

 

あなたはパスタを家で作る時、茹でるお湯に塩を入れますか?

 

・・・

 

パスタを家で作るときの常識をお客様や知人にお聞きしてみると、ほとんどの方が茹でるときに塩を入れると答えられました。

 

パスタを茹でる=塩を入れる

 

ある意味、これはもう頭に刷り込まれてると言っても過言ではありませんね(^-^;

 

ちなみに、ボクも今まではそうやってました。

 

それは、若い頃そう教えられてきたし、どの本にもそう書いてあったから…

 

何の疑問も持たずに、普通に塩を入れて茹でていました。

 

しかし、実はGOCHIでは、パスタを茹でる時に塩は一切入れてません!

 

ええぇΣ(゚Д゚)!?

 

あ、決して面倒だからとかそんな理由ではないのでご安心を(^-^;

 

ではその理由と、そもそもなんで茹でる時に塩を入れるのか、順を追って説明していきますね(^^)/

 

 

パスタは塩水で茹でるべき?

 

 

 

そもそも、なんでパスタを茹でる時に塩を入れるのか?

 

 

一番の理由としては、浸透圧によって麺に味がしっかり付くからです。

 

ザックリ言うと塩分と水分の交換です。

 

(‘Д’)??

 

 

ちょっと理科の実験のような言葉ですよね(;’∀’)

 

例を出すと、魚の切り身に塩を振ってしばらく置くと、魚から水分が出てきます。

 

また、キャベツの千切りに塩を振ったら、水分が出て量が減ったようになります。

 

その代わりに、魚にもキャベツにも塩味が付きますよね?

 

つまり、食材の中にある水分と、振った塩の塩分が入れ替わります。

 

これを別の言葉で「脱水作用」とも言います。

 

この方法は、調理の過程や仕込みの時によく使います。

 

代表的な料理を挙げるなら

 

サーモンマリネ

 

生のサーモンに大量の塩や砂糖を振り、数時間寝かせて(置いて)余分な水分を抜き旨味を凝縮させる。

 

漬物やキムチ

 

野菜に大量の塩を振ったり、塩水に浸けたりして水分をしっかり抜き、そこから味付けを行う。

 

ちなみに、塩分は殺菌作用もあるので一石二鳥です♪

 

また、麺にコシが出るということが挙げられます。

 

熱を加えると、タンパク質の凝固作用によってプリプリした食感が生まれます。

 

そして、塩を用いることによって、その効果が高まるのです。

 

ボクも、今まではパスタを茹でる時に塩を入れて作っていました。

 

それが当たり前と思っていたので「朝起きたら顔を洗う」くらい、全く疑うことなく塩を入れていました。

 

しかし、ある時パスタを作って味が濃くなって失敗した時、ある考えが浮かびました。

 

そもそも、茹でる時の塩を無くしたらどうなるんだ?

 

 

 

塩を入れないという新しい発想

 

 

 

それは、先程の失敗した時の話です。

 

「あれ、パスタの味が濃いな!」

 

「最初の塩の量が多過ぎたか」

 

そう、実は一言に塩を入れて茹でる、と言っても少量じゃ全然意味が無いんです。

 

目安としては、海水に近い2.5%〜3%の塩を入れます!

 

結構入るんです!

 

そのくらい入れないと、麺に味も付かないし、コシも出てこないんですよ(^-^;

 

ただ、この最初の塩を入れる時が肝心で、少し多めに入れるんです。

 

と言うのも、ボクらのような専門店でパスタを茹でる時は、小さな鍋で茹でたりしません。

 

パスタボイラーと言う、大量のお湯で茹でます(^^)/

そしてこの機械は、常にお湯が沸いてる状態なので、絶えず差し水をして沸き加減を調整しているんです。

 

なので、徐々にですが自然と塩分濃度が少なくなっていきます。

 

だから一番最初は少し濃いめにして、お客様に提供するパスタを茹でる頃に、最適の濃度になるようにしています。

 

また、時間が経つにつれ、やはり濃度が薄くなっていくので、途中で塩を加えたりします。

 

しかし、時として塩を入れ過ぎたり足らなかったりということが起きやすいのも事実です。

 

そして、その塩味の入り方でソースの味も微妙に変えていました。

 

もちろん、そこは慣れているので滅多に濃い薄いの失敗は無いんですが(^_^)v

 

ボクはそこで・・・

 

「塩分をなるべく一定にするには、どうしたらいいんだろう?」

 

「塩を入れないで作るとどうなるんだ?」

 

と思い、色々と実験したり調べているうちに、面白い記事に目が止まりました。

 

 

パスタのパッケージには「沸騰したお湯に塩を入れる」などのレシピが書いてあります。ところが、そんなパスタの常識を覆す人物が。

それは、かつてパスタメーカーの研究室で働いていたというパスタのエキスパートでもある大学教授。

先生によると科学的にいうと食塩は入れなくていいとのこと。

そこで熱湯の入った2つの鍋を用意。

片方の鍋にパスタのパッケージ通り1リットルあたり塩を小さじ1杯入れます。

そこにパスタを投入しパッケージ通りに8分茹でます。

ゆであがったところで麺をあげ市販のソースをかけて食べる。

味見の結果、2つの味はほぼ一緒でした。

さらに詳しく見るためにマイクロスコープを使い40倍に拡大してみると、中心部分の影はほどよい歯ごたえを作る、アルデンテを示しているのですが、どちらもほとんど違いがありませんでした。

さらに、噛み切るのに必要な力を計る装置にかけてみると、小さじ1杯の塩を入れたパスタと何もいれずに茹でたパスタとでは、ほとんど歯ごたえが同じという結果に!

所さんの目がテンより

 

 

これは驚愕でした(゚Д゚)!

 

自分で実験している時は、塩味が無く先入観もあり・・

 

「やっぱり、塩を入れなければダメか」

 

と諦めていましたが、これを見てもう少し試行錯誤してみよう!と思ったんです。

 

 

新たなGOCHIパスタの誕生!

 

 

まず、色々なブランドの茹でたパスタを、実際に塩を入れないで食べ比べてみました。

 

やはり、各メーカーで出しているパスタは、それぞれ微妙に異なっています。

 

コシが全く無くなってしまうもの、伸びた印象を受けるもの、食感は良いがソースと絡まないもの、本当に様々でした。

 

そして食べ比べるうちに、これだ!と思うパスタに出会いました。

 

そのパスタは、GOCHIの記事でも紹介した「ダルクオーレ」という会社のパスタです。

 

茹でた時のタンパク質の凝固作用や、グルテンの生成、プロテイン含有、ザラザラさせた表面、そして茹で上がりの食感が一番でした(*´ω`*)

 

 

次に、この塩無しパスタとソースを絡めてみると・・・

 

「歯応えは良いんだけど、何かが足らない」

 

ううむ(´-ω-`)

 

やはり、ソースを乳化させしっかり絡ませパスタの食感が良くても、パスタ自体には味が無いので、若干ボヤけた味わいになってしまいました(+_+)

 

ここまでか・・・

 

諦めかけた時、塩水の浸透作用を思い出しました!

 

「早めにパスタを上げて、ソースで最後火を入れたらどうなるんだ?」

 

そして、これが今のGOCHIのスタイルになります!

 

 

塩を加えていないお湯で7分茹でる(このパスタに表記してある標準茹で時間は8分)

 

ソースは予め、水分を多めにし味を付けておく

 

パスタを多めのソースのなべに入れ強火で火を入れる(こうすることで、ソースの塩分がパスタに移る)

 

そして最後に、オイルなどを入れ乳化させしっかり絡ませる

 

これだ(゚д゚)!

 

と、確信しました!

 

そして、このスタイルはソースの味付けが「命」となります。

 

しかしボクは、どちらかと言うとソースにこだわりを持ち、ソースの味を重要視していたので、違和感無く出来たんですよね♪

 

こうして「塩水で茹でないソースの味を前面に押し出した魔法のパスタ」が生まれました。

 

 

常連の皆様も、意外な事実にビックリされるかもしれません(^-^;

 

しかし、決して味がボヤけていたり、食感が悪いとは感じられないと思います。

 

 

また御家庭でも

 

「パスタを茹でるお湯にどのくらい塩を入れていいかわからない」

 

「パスタの味が濃くなったり薄くなったりする」

 

という事があったら、是非一度試してみて下さい(^^)/

 

閲覧、ありがとうございましたm(__)m

コメント

    • 初見です
    • 2021年 1月 07日

    塩について検索していて辿り着きました。麺を一分くらい速く湯から上げてフライパンのソースと混ぜるのは、麺にソースの味と水分を吸わせるためなのは知っていたけど、言われてみればソースの塩分も吸わせる事になりますよね。
    調べていて新たな疑問が湧きました。うどんは塩を混ぜて作られるのにパスタはなんで塩を練り込んでいないのでしょう。どのみち最終的には塩が必要なら初めから0.5%くらいの割合で練り込まれてても良さそうなのに。あまりにも基本的な事すぎて考えた事がありませんでした。何語で検索しようにもキーワードがよくわかりません。パスタ 塩 と入れるだけでどうしても何%で茹でるかばかり出てきてしまいます。ただ「セモリナ粉は固いので塩を入れなくても麺状態に形成できる」という記事を見つけました。正確には手打ちが無理なくらい固い粉なので機械を使う(生パスタなら可能な気もしますが)、機械の圧力をかける以上は塩要らない、つまりうどんに使う小麦粉だと塩混ぜないと(グルテン形成を活発にしないと?)固まりにくいという事なのでしょう。ビーフンも春雨も塩まざってないですね。でも料理する際の手間を考えたら初めから塩を練り込めるなら練り込んでもいい筈です。なぜ塩を入れた麺が商品化されないのでしょう? 吸湿しやすくなってカビやすくなるからでしょうか? でも今や冷凍・冷蔵のパスタ麺もあり、どうせ厳重に保管するなら塩を練り込んでても良い気がします。
    もしフライパンで麺に塩分とソースの味を吸わせる際に、麺は予め塩分を含んでいない方がソースの味が吸われやすくなるなら、麺には塩がまざっていても良くないし、塩水で麺を茹でるのも良くない事になります。そうだとしてもそこまで考えた上で麺に塩をまぜていなかったのでしょうか?

      • gochi0816
      • 2021年 1月 08日

      ご質問ありがとうございます。
      僭越ながら回答させていただきます。

      まず初めに、麺に塩を混ぜるかについては、余談になってしまうかもしれませんが、参考までに記載しますね。

      まず最初に塩はつなぎではありません。

      おっしゃる通り、麺にコシを出す役割を果たします。

      そして、うどんや素麺などが製麺時に塩を多量に使うのに、パスタでは全くかほんの僅かしか使わない理由は、使われている小麦の品種が違うからです。

      元々、日本で栽培されていた小麦は、古くからの栽培品種も現在の主たる栽培品種も、色が乳白色でグルテン含有率が低めの、中力粉水準です。柔らかく扱いやすい反面、コシが出にくいので、食感を追求して試行錯誤する内に、小麦粉に熱湯や塩を加えるとグルテンが出やすい(=生地のまとまりが良くなり、同時に強いコシが出やすくなる)という性質を利用して発達したのが、うどんや素麺などの製麺技法です。

      一方、パスタの原料は、主にデュラムセモリナという品種の小麦が使われます。この品種は元々の色が黄色味を帯びており、他の一般的な小麦に比べ、グルテン含有量が多く、製パン用の品種と同じく、強力粉レベルです。
      塩や熱湯の力に頼らずとも、簡単に強いコシが出やすいことと、小麦の栽培地が比較的乾燥地帯が多いことから、日本のように水や塩を多用するのではなく、小麦の特性に合った水や塩の使用量の少なくする手法で発達したのが、パスタの製麺技法です。

      そしてGOCHIで塩を入れていない麺を使う一番の理由として、パスタのソースに重点を置いているからです。
      ブログでも少々触れていますが、GOCHIでは塩加減や味が整い完成したパスタ料理から、逆算をして作っています。

      つまり、どの食材をつかうか、どんな系統のソースにするか、出汁の塩分濃度はどのくらいか、など鍋に火をかけたところから頭と舌で完成形をイメージして味を計算しています。

      「この出来上がったソースでパスタを最後絡めれば、イメージした味になるな」
      というように日々調理しています。

      また塩分というものは、一度入ってしまうと取り除いたり誤魔化しが効きにくい味です。
      だったら、最初はゼロからスタートして自分で味を組み上げていこう!という結論に至りました。

      文章にすると、大それた事と思われがちですが、この感覚こそ料理人には不可欠で、またその代償としてお金を頂ける仕事だと思っています。
      まとまりのない文章になってしまいましたが、回答とさせていただきます。

      イタリアンバールGOCHI
      オーナーシェフ  後藤

    • 初見です
    • 2021年 2月 26日

    詳細なご説明有難うございます。パスタの製法にはセモリナ粉の性質と環境が影響していたのですね。もしパスタマシンを持っていたらセモリナ粉を買って自分で塩を混ぜた麺を作ってみたいところです。普通のパスタを茹でる際に塩水を使うのと、塩麺をただの水で茹でるのとどう違うのか。書いていて思いつきましたがただの小麦粉なら簡単に試すができるので、塩を極力使わないパスタ式麺を捏ねて塩水で茹でて食べてみて普通のうどんと食感がどう違うか食べてみたら参考になる気がしました。

    以下は個人的な事になります。自分は過敏性腸症候群という小麦製品が苦手な体質です。IBSとか機能性ディスペプシアとも言い、特定の糖質を腸で分解吸収しにくく、牛乳でお腹がゴロゴロするとかさつまいもでおならが出る傾向の重症版と言え、小麦麺やパンに含まれる糖質によって便秘・下痢・放屁のいずれか或いは複数の症状が起きます。
    この症状ではグルテンは敵みたいに言われており、パンについて調べてて寒冷地で採れたパン小麦ほどグルテンが多いと知りました。でももっと広い視野で麦の種類ごとの産地とグルテン量を比べると大まかに
    グルテン (多) デュラム小麦 > パン小麦 > ライ麦 (少)
    産地  (高緯度) ライ麦 > パン小麦 > デュラム小麦 (低緯度)
    で麦の種を超えると寒冷地ほどグルテンを含むものが育ちにくそうでもあります。そして普通のパン小麦麺よりもデュラム小麦パスタの方が過敏性腸症候群にとっては良いという話を検索結果の深い所で見かけ、試しにパスタばかり食べるようにしてみたらラーメンやうどんに比べて腹のつらさが軽くなったんです。グルテン比は
    (多) パスタ > 中華麺 > うどん (少)
    で、医学的にはパスタが最も良くなさそうなのに? よく考えるとグルテンが多い物ほど腸が分解し難い糖質も多いだろうと自分が勘違いしていただけで、調べてみたら実際には比例するとは限りませんでした。この症状は本当はグルテン自体が敵なのではないのに、小麦粉を避ける食事イコールグルテンフリー食のように飛躍的に言われているために、頭の中でいつの間にか小麦粉の持つ糖質とグルテンを混同してしまっていたようです。またこの症状は個人差が大きく、同症状の多くの人にとってはパスタも基本的に避けるべきものであろう事からも、自分のような例外的にパスタならまあ受けつけられるタイプが欲しい知識が埋もれてしまう事にもなりがちです。自分も本当は避けるべきタイフには違いないのですが米ばかり食べていると繊維不足でか深刻な便秘になるので、自分にとっては穀物はパスタと米を半々くらいが一番低リスクなのです。それでこれまで避けてきたパスタを色々食べ歩いたり作ったりして見ようと思いここに辿り着いたのでした。

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